先日の事故。
事故翌日にはこちらが提示した金額の半分を回収、残り半分はそこから1週間で回収し
思ったよりも早く示談が完了してホッとしているところです。
ただ、今回、こちらは一方的な被害者とはいえ、色々考えさせられる事が多かったです。
最初に言っておきますが、私自身は正義マンではありません。
若気の至りをSNSに投稿し炎上なんてものも、ただ自分が若い頃にそんなものが無かっただけで、あればきっと同じ事してただろうと思います。
経験的観測から少し書きたいと思います。
まず
「飲酒」これはもう今の日本で運転する限り、リスクが大きすぎます。
25年以上前、ガソスタでバイトしてた時なんか、現場系の車のドリンクホルダーには缶ビールかワンカップがデフォ。
世間一般的に、今より「飲酒運転は悪」という風潮は緩かったと思います。
けど今は飲酒で人身事故でも起こそうものなら、社会的抹殺に近いほどダメージを食らいます。
今回の男の子は22歳。
祖母が日本人という事で、母親と一緒に小学生の時に日本へ。
事故翌日に会った印象は、真面目な男の子。
調理師見習いで将来は自分の店を持ちたいと。
母親と祖母も住める家を買うつもりで、立ち会った工務店のおっちゃんと知り合ったと。
それが.........................
飲酒運転で捕まればどうなるかも理解しながら、飲んだ場所から自宅までバイクで5分も掛からない距離。
歩いてでも帰れるのに
「近くだから大丈夫」で乗ったと。
「近くだから」
「検問の場所は把握してる」飲酒運転する人間がよく言う言葉ですが、アルコールで正常な状態ではないというのが頭から抜け落ちていると思います。
免許証、描いていた将来設計、仕事等々、全て失ってしまうのがコワくて頭が真っ白になり逃げようとしてしまったと。
翌日会った彼は憔悴しきった様子。
まだ処分は下りてないものの、軽い方の酒気帯びでも1年以下の懲役または50万以下の罰金、減点15点で即免許取消。
加えて警察署で自賠責保険も切れていたのが発覚し、これも意外と罰則は重く、1年以下の懲役または50万以下の罰金、減点6点で即免停。
罰金に加えて、こちらが提示した示談金の支払い。
納得できなければ裁判起こす権利はあるものの、弁護士や裁判に掛かる費用、どんな理由があるにせよ「飲酒運転」という弁解の余地無しの状況。
任意保険どころか自賠責保険も未加入というのは悪質極まりないという心象。
今は飲酒運転で捕まれば、大体の企業で解雇となりますが、調理師という職種的に彼がどうなるかは知りません。
ただ「飲酒運転」というのは刑事処分(罰金・赤切符)なので、履歴書に
「飲酒運転により免許取消処分」と記載しなければならず、もし記載せず後になって発覚になった場合は経歴詐称で解雇が妥当。
余程飛び抜けた才能でもない限り、もし解雇になって次の仕事を見つけるというのは難しいと思います。
言動振る舞いから、これまで真面目だけで生きてきたわけでもないけど、やんちゃする事もなくフツーの青年だっただろうなとは感じましたが、それが「近くだから」と安易に判断したせいで、全て崩れていったのは、被害者の立場から見ても気の毒でした。
正義を振りかざして
「飲酒運転はやめよう」ではなく、相手にケガも負わせていない程度の事故なのに「飲酒」が加わっただけで、奈落の底に落ちたかのような、あまりにも悲惨な状況に陥るのを目の当たりにしたので「飲酒運転はやめよう」と言えます。
次に
「自賠責保険」これ、車や250cc以上のバイクは車検と同時に更新するので、まず忘れる事はないと思いますが、250cc未満のバイクはうっかり忘れてたという事がありえます。
というのも、自分がそうだったので。
前回契約したところから通知のハガキは届いていましたが、更新月が冬場だったのでほぼ乗る事もなく、何となく「
そういえばハガキ来てたよな」でシール見たら期限切れていた事が。
他に乗り物もあるし、近所にコンビニもあったのでそのまま乗らずに更新しに行きましたが
ここで乗って何かあれば1年以下の懲役または50万円以下の罰金で減点6点。
一発免停の赤切符なので、これも履歴書に記載の必要が出てきます。
Twitterなんかを見てると、学生のコが
「赤切符~!」と自虐的に投稿しているのをたまに見掛けますが、反則金と罰金の違いを理解しているのか、就職活動の履歴書の賞罰記載欄にそれを記載する義務があるので、マトモな会社に勤められるんかな?と思ってしまいます。
これを読まれた原付や原付二種をお持ちの方は、もう一度、自賠責保険の期限を確認してみて下さい。
続いて
「装備品」これは私自身がバイクに乗るようになった年齢の頃から最近に渡るまで、大小様々な事故で死にかけた事もあった経験から、今回も改めて思いました。
「グローブは着けましょう」
「ヘルメットの顎ヒモはキッチリ締めましょう」事故の際、本人が被っていたのは、原付の女の子なんかがよく被ってるような、ベージュ色で耳まで覆われているつるんとしたジェットヘルと半ヘルの中間みたいなヘルメット。
それにシールドが付いてるようなタイプ。
オモチャみたいなヘルメットですが、それでも顎ヒモしっかり締めておけば脱げる事はなかったんじゃないかと思います。
何を被って飛ばすかは本人の勝手ですが、翌日会った時、顔の半分は紫色に腫れ上がり、まぶたの上は5cmほどパックリ割れていたのを縫い、右目は完全に塞がる形。
マスクをしてたので傷口見てはいませんが、顎は骨折してないものの、歯も折れ酷い有り様でした。
「スピード出さないから大丈夫」と言って安いヘルメット被るのも本人の勝手ですが
バイクなんて常に自分でバランス取ってないとコケる不安定で剥き身の乗り物です。
それに自分は安全運転していても、車がブツかってきたら痛い目に遭うのはバイクです。
いくら
「相手が悪い!」と言ったところで、砕けた顔面で、その先ツラい思いをするのはバイク側です。
グローブも同じく。
グローブは防寒目的ではなく、コケた時に手を守ってもらうための物です。
私も素手でRGV-Γの3速パワーバンド中にコケて、両手の指8本が骨まで削れて骨折。
縫う皮膚も無く火傷の時に皮膚に貼るやつで、ただ再生を待つみたいな事になりました。
「グリップヒーターにハンドルカバーしとけば、素手でも余裕」とか、ちょっと何言ってるかわかりません。
バイクはコケるのを前提に乗らないと、軽いケガで済んだものが大怪我になってしまいます。
本人も骨折はしてなさそうでしたが、両手とも血がダラダラ。
申告されるまで飲酒がわからなかったのは、顔面も両手も血だらけだったので、近寄りたくなかったからです。
最後に
「知識」乗り物に乗る以上、ある程度の法律的な知識をもってないと痛い目をみます。
今回、一番
「この人達、大丈夫?安心した顔してるけど、肝心なところが抜けてるから、まだ毟り取れるよ?」と思ったのが、最後に交わす示談書でした。
この「示談書」というのは、内容に
「今後、お互いに異議申し立てをしない」と記載するのが当たり前ですが、示談書自体はあくまで私人同士でやり取りした
「私文書」です。
何ら法的拘束力は無いので
「やっぱり気が変わったから、訴訟してもっと慰謝料欲しいわ」ができてしまいます。
それを防ぐ手段として、加害者は被害者にお願いして一緒に公証役場へ行き、公正証書にしてもらう必要があります。
正直、加害者の立場なら、自己防衛の為に当然、私へお願いしてくるものかと思いましたが、それには全く触れず。
公証役場へは加害者と被害者が2人揃って行く必要があるので、日程調整やら話をしてきて、こちらとしては協力する代わりに交通費と日当はいくらぐらい欲しい、みたいに詰めるのかと思いましたが、こちらから話を振るまで、公正証書とか誰も知りませんでした。
相手のコは約束通り、親戚や友人、同僚に頼み込んで示談金を指定した期日までに全額用意し払ったので、それ以上追い込むような外道はするつもりはありませんが、全て終わってから
「賢い奴は、色んな金取る方法を使って取ろうとするし、それは違法行為でもないんよ。
母子家庭でやってきて、今回ずっと頭下げて泣きながら謝ってばっかりのお母ちゃんが、首吊ったりしたら嫌やろ?
飲酒運転で無保険みたいな、相手から言われるがままに補償せなあかんような事はもうやめときや」と。
「約束は守るコなんはわかったから、欠格期間が終わってまた免許取って、事故して困った事があったら電話しといで」
と伝えたところで、本人もお母ちゃんもやっと安心した様子。
本来なら22歳のいい歳した成人が、飲酒運転の物損程度の事故で、親が頭下げに出てくるのもどうなん?と思いましたが、多分.................
「金が無いならババアはマニア専門の風俗でも行け。
ガキはダムの工事現場か内臓か選べ」とでも言われるんじゃないか?のような警戒レベルだった気がします.................
そんなレトロな脅しするぐらいなら
「若いコ集めて合コンしてよ」と頼んでたと思います。
本人は中免しか持ってなかったみたいですが、母親に黙って免許取るぐらいバイクは好きで、教習所も私が通ったのと同じデルタだと。
やってしまった事は反省して、またやり直してほしいものです。
今回は、かなり偉そうな内容でしたが、改めて「こうならないよう、自分は気をつけよう」と思う事が多々あったので、縁あって読んでもらってる方に
「ホントにあった怖い話」みたいに、少しでも伝われば幸いと書きました。
皆さんも事故の無いよう、お気をつけ下さい。
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