嫁キレる.....

先日は親父が勤める会社へ挨拶に。

高卒の集団就職で大阪にやって来て以来、1つの会社でずっと働き、定年前に部下の横領が発覚し責任取らされ退職。
電設系の会社は入札等で同業他社と顔を合わせる機会も多く、家庭では唯我独尊な親父でしたが仕事の成績だけは良く、退職した後も再就職先には困らなかったと。

その中の会社で「出勤するしないも就業時間も自由にしてもらっていいから、正社員で来てほしい」と言ってきた社長が。
出勤もテキトーな割に、大手建設機械の会社や大手不動産会社等、公共工事以外の仕事も取ってきたとか。
まぁ古い営業のタイプというのか、公私共に付き合って義理人情で仕事を取る感じ。
弟のようにオンラインでプレゼンして、気に入ってもらえればどうぞみたいなアッサリした営業のタイプではありません。

ただ、最近先代が引退し2代目が継いだようですが、どちらかと言うと若手を大事にしたい傾向があったとか。
親父をはじめ、先代社長からは70代でも正社員雇用されていた人らが「右も左もわからん小僧が、何を偉そうに抜かしとんねん」みたいに続々と退職。
親父も2代目は気に食わないタイプだったようなので今年5月の締めで退職する予定でした。

ボチボチ有給消化に入ろうとしていた時に今回の癌が発覚。

手術だ何だとGWも重なり、明けて少し落ち着いた時、親父から「お母さんと会社に挨拶行ってくれへんか?」
まぁ親父の状態と元々退職は決めていたのを考えると、復帰はありえないので挨拶ぐらいならと思っていましたが..................

まず「健康保険」の問題。
退職すると保険証を返す必要があり、最長2年だったか継続は可能なものの、手続きに時間が掛かったような。
(自分の場合は転職の際は次の目処が立っていたのと、最終的には自営業になって国保加入だったので、手続き期間はハッキリわかりません)
その手続き完了までの空白期間は、病院から請求来たら実費精算になり、高額医療の申請もできなかったような。
親父に、退職の意思は退職届で出しているのか、同僚に口頭で話しただけなのかを確認すると、退職届は出してないと。
スパっと辞めたいのか、少しでも金が残る形にしたいのか訊くと「お前に任せるから、良いようにやってくれ」

うーん..................
弟は「金の面でバックアップはするから、親父が良いようにやったって」とは言いますが、それでも出来るだけ負担は掛けさせたくありません。
というか、1部上場企業の社長や銀行頭取等、名だたる人ら相手にプレゼンして交渉してきて、今の生活を送れてるお前が行った方がいいんじゃね?

「それは長男の仕事やろ」

...........................個タクという、ダメ人間を更にふるいにかけた選りすぐりの「極ダメ人間」にこういう事を任せすなよと。
親父も「スーツ着て行ってくれよ」とTPO皆無な人間扱い..................

ただ、普段の仕事のように、初見で相手がどんなタイプか判断する必要もなく、事前に人柄は聞いている分、話しはしやすそう。

とりあえず方向性は「退職よりも傷病手当」
会社勤めから離れて何年か経ち、今の制度には詳しくありませんが、原則として会社側が従業員を解雇できる理由は、刑事事件を起こしたり無断欠勤といった7、8項目に限られているはず。
微妙なラインに関しては会社側と組合側で賞罰委員会が開かれ、そこで処分が決定されるというのが、昔組合役員をやっていた頃の流れでした。

親父の場合、5月の締めで退職の意思をもっていて、会社側に告げて有給消化に入ろうかという時に入院となってしまい、ただ有給使って安静にしてる状態。
退職届が受理されて有給消化に入った訳ではないと。

そして病気や怪我といった、正当な理由で休む場合は会社によって呼び名は違うかもしれませんが「傷病休暇」といった形で、有給の残がゼロでも欠勤にはならない「無給休暇」に入ります。
会社勤めの人は健保協会に加入する健康保険となりますが、これには同一症状の病気や怪我に対して最長12ヵ月だったか18ヵ月だったかまで、健保から「傷病手当」として直近3ヵ月ぐらいの総支給額の平均の6割を日額として算出し、それを会社の休日も含めた29日分か30日か31日分がその月に沿って支給されます。
(隼で大転倒した時、怪我が治るまで1年近く掛かりましたが傷病手当はその間支給され、会社に復帰報告した数日後に階段から落ちて腕を骨折。
その骨折が治るまで、別の怪我としてまた傷病手当が支給されました。
正直、自分で生命保険や傷害保険に加入していれば、傷病手当と保険金でまともに働くより収入は多くなるほどです)


フツーの会社の場合、社会保険や厚生年金、健康保険は会社半分、従業員半分で納めていると思いますが、1ヵ月丸々就業できなかった場合等は、それらを会社が一旦立て替えて、傷病手当と相殺してから支給に。

退職してしまえばそれまで。
それなら事務的な面で会社に手間は掛けさせてしまいますが、お金の面で会社が損する事はなく、健保からの傷病手当なんて労働者の当然の権利なので、会社に籍を残す方向がいいだろうと。
万が一、会社側が解雇等と言い出した時は、最後の手段として弁護士入れて権利は主張といった形になりますが、そこまで揉めないように、親父も復帰を望んで治療してると前面に出して話を進めるのがいいかなと。
面談までに、同席するオカンには「俺が話をするから変な事言わずに黙って聞いといて」と念押し。

面談へ。

社長さんとは初めて会いましたが、40歳なるかならないかぐらいの若さ溢れるツーブロックで整髪料ベッタリなギラギラした印象。
社長さんと同席した、役職はわかりませんが奥さんの方は鉄仮面みたいな感じで「奥さんの方がキツそう」といった印象。

話を進める中、前に座る2人の雰囲気に違和感は感じはしましたが「恐らく会社としては自主退職してほしいんやろな」と思って「当然、社会ド底辺の個タク運ちゃんでも知ってる労働法ぐらい、会社経営してるなら知ってて当然ですよね」みたいに、逆方向からプライドをつつき
「まぁ、詳しい事は事務方に確認取っておきます」とほぼほぼ纏まりかけた時..................

「何とか6月の締めまで在籍できるようにしていただけないでしょうか?
健康保険の継続の切り替えに時間が掛かるようなので、その間、実費支払いになるのは困るので、何とかお願いします」
と、オカンが突然..................

おい!!!

息子が話し続ける中、隣で沈黙するだけなのに耐えかねたのか「私も何か言わな!」といった様子。
その気持ちはわからんでもないけど、何でこちらの要望を押し込めたところで、一番損する事を言うんやと。
自分も含め、前に座る2人も一瞬ポカーン..................
こりゃ手間が省けるとばかりに「6月の締めまでに退職届を持ってきて頂けますか?離職票は用意しておきますので」と。

「ありがとうございます、よろしくお願いします」と言って幕引きモードなオカン。
いやいやいやいや.........それでええの?オカンは実は隠し財産でもあんの?
例えば親父の月給が50万として、その6割で30万、諸々引かれたとして25万、寝てても入る金を蹴るほど裕福なんか?

かなり困惑..................

車に乗り、帰りの道中
「うちの家っていつから資産家になったん?」とオカンに訊くも「お金無いよ」
「じゃあ何で来月辞めるような事言ったん?」

「だって健康保険の継続手続きしても1週間は掛かるって言われたから、5月に辞めたら手続き中は実費精算せなあかんやん。
だから1ヵ月先延ばししてもらって、その間に手続きしたらいいと思ってたのに、アンタ全然その事喋ってくれへんから」


.........さぁ、認知症検査だ

あのな、5月に辞めようが6月に辞めようが、継続手続きせなあかんのも、その間は実費精算せなあかんのも同じやねん。
継続手続きは退職して保険証を返してから始めてできる申請。
ていうか外来じゃなくて入院やねんから、毎日会計行って精算してへんやろ?
病院の締め日にまとめて請求書渡されるはずやし、仮に実費精算になったところで、オカンが支払えんかったら、どさくさに紛れに「これサインしといて」って何枚か渡してきた書類の中に、医療費払われへんかった場合の連帯保証人に俺がサインしてるやろ?

ていうか、退職したらそこで終わりやから、出来るだけ在籍を長引かせて傷病手当を貰って、オカンらに少しでも金が回るように話を持っていっててん。
その中で、会社が「在籍期間が伸びると退職金も増えるから早く辞めてほしい」みたいな事を言い出したら、労働者の正当な権利は主張しながら「そうまで言うなら仕方ないですね、法律的にも社会通念上もどうかと思いますけど、事務手続きで迷惑も掛けるし、退職金は有給残が無くなった時点での金額っていう事で、そちらの要望も呑んであげますわ」って形で少しは譲歩して恩を売るところが落とし所やと思ってたのに、オカンが言い出したのは一方的にこっちが損するだけの内容やで。

「そんな傷病手当とか聞いた事もないし」

だから知らんと思ったし、今更説明しても意味わからんやろうから「黙ってて」って言うたやん。
俺が社長の立場なら「アホで助かったぁ、言質は取ったしすぐに手続きしたろ」って笑い止まらんで。

「もう1回、アンタ電話してくれへん?」

いや、無理やろ..................
ここからまた話をひっくり返すんは難しいで。
ていうか俺が呆れてしまってるから。

「そんなん言わんと.........」

会社までは実家から片道20kmほど。
オカンを送って着く寸前
「会社に携帯返すの忘れてた」

あのね、俺メーター入れて走れば2往復で3万円にはなるんよ。
今回は親父がこういった状態やから、誰の送迎も金取ってないんよ。
この1ヵ月ほど、殆ど仕事できてなくて売上は6割減なんよ。
70歳ぐらいの個タクの運ちゃんらに話した時、皆、親兄弟が介護だ余命だとなったら、仕事的に時間の融通が利いて車もあるって事で「落ち着くまで月いくら渡すから頼むわ」って50万から100万ぐらい貰って、他の親族に迷惑掛からんように世話したって言ってたけど、俺は1円足りとも貰ってない上に、クラウンもヤリスもガソリン使う一方なんやけど。

イライラの限界にきたものの、とりあえず携帯返しに行くって社長に連絡するついでに、ダメ元で
「先程はお時間頂きありがとうございました。それで母親が理解無いまま喋ってしまって申し訳ありませんが、私が最初に話したように傷病手当の形でお願いします」

そんな流れと、健康保険や失業保険等の事で聞きたい事があったので、普段は「俺がBEACON最速」とか寝言は寝て言えな割に仕事では組合役員もやってる883に乗るNaoに電話。

「わかるわー」

どうやらNaoも母親と重要な話の場に出た際、有利になるようストーリーも組んで臨み、良い方向に進んだのに母親がしゃしゃり出てぶち壊した事があると。
同じ70代の母親を持つ身として、この年代は感情論で話すから、重要な話の場には連れて行ったらあかんなというのは同意。

親父がオカンに「今日は誰が来るんや?」と電話掛けてきた時、スピーカーホンで受けたオカンは「孫ちゃーん、じいちゃんから電話よー」と、問い掛け無視で弟の子供らと話を。
親父も無下にはできず孫と会話した後、再度オカンに「誰が来るんや?」と訊くも
「ごはんは食べれてんの?」と返すオカン。

「結論から先に言わんかぁ!こっちはしんどいんや!」で親父は電話ブツ切り。
その場にいた義妹にはそのやり取りが面白すぎたようで、親父のモノマネしながら様子を伝えてくれて
「な、人の話を聞かない、訊かれた事にも答えずに自分が思いついた事を真っ先に言うやろ?
人をイラつかせるスキルだけは高いねん」


「夫婦喧嘩の8割は女が悪い」と言うと、弟はウンウン頷いていましたが、義妹は「そんな事ないよね、お義姉さん」と、うちの嫁共に不満顔..................
何となく話題を切り替えた方が良さげな雰囲気を察したのか「落ち着いたら皆でハワイでも行こ」と言い出した弟。
「この円安物価高に海外って、1人100万は小遣いくれな楽しまれへん」と嫁が言うと
「じゃあ沖縄?あっ!この前、木更津にポルシェの試乗できるとこがあってディーラーの子が招待してくれてんけど、めっちゃ面白かったからアニキ行こうや!義姉ちゃんも車好きやから楽しめるで!」と節約モードに..................

と、こんな流れで進んでいる中、親父の会社の社長から電話があり、根本的な情報が違っていたというとんでもない事実が発覚。

実は去年8月に社長が就任した際、人材の流動性や若手の台頭を優先するとの事で65歳以上の社員は一斉リストラを決めたと。
ただ、それまでの貢献等も考慮して今年の5月まで猶予期間を置き、一人ずつ面談をして双方納得した上で退職日を決めていったと。
もしそこでゴネた場合は肩書きを外してヒラから時給制という話も。
それを親父は「今まで自分の下にいた若造が自分の上に就くなんか納得できん!」て事で5月退職を選択していたと。
それはLINEのやり取りでも残っているし、面談の時に署名もしてもらってると。
病状に関しても、親父は同僚に肺癌ステージ4だと伝えたみたいで、それも社長の耳には入っていたと。

..................ナ ニ ソ レ ?

退職は親父が社長を気に入らんどうのじゃなくて、もう既に決まってたもの。
多分「リストラ」というのをオカンに知れるのが恥と思って「俺の方から辞めたった」にしたかったのかと。

社長からの電話の内容が、こちらが親父から聞いてた経緯と完全に違っていて唖然..................
社会復帰なんて夢物語な現状を会社側は認識してるのに「息子は何言ってんだ?」と自分が逆の立場ならそう思います。

団塊世代のしょーもないプライドを持ち続けんのは構わんけど、代理で会社に行かせるなら正しい情報をくれよと。
「親父もすがる思いで日常生活に戻りたいと思っているのを社会復帰と混同して私に伝えたんだと思います」としか返す言葉がありませんでした。

社長も「うちの社労士と相談してみて下さい」「俺シラネ」になって暫く、社労士さんから着信が。
もうお手上げなので「一番お金が手元に残る方法を教えて」とストレートに訊いた結果..................
まず、入院してから有給休暇で休んだ分を取り下げて、入院した日に遡って傷病休暇に切り替える。
有給休暇は退職する際に会社に買い取ってもらう。
傷病手当が支給されている状態で退職し健康保険証を返したとしても、健康保険の継続手続きをすれば傷病手当も継続される。
加えて退職金。

クッソ迷惑かけた分、有給休暇の買い取りぐらいは譲歩せなあかんかなと思いながら、その他手続きの仕方を教えてもらい、ありがとうございます。

オカンに「どうなってんの?話が全然違うねんけど」と電話。
リストラで退職日が確定していた事も、会社側へ肺癌ステージ4を伝えていた事も知らず「アンタどうやって社長に言い訳したん?」と。
そして、主治医に文句言って喧嘩になったり、あの看護師には来させるなと言ったりしてるとか。
病院食や流動食は不味いからと勝手に止めてしまい、食べられもせんのに「弁当買ってきて」
加えて入院費治療費は後で保険等でペイできるとしても、一旦は立て替えになりますが、親父の口座のキャッシュカードは磁気飛びして使えず。
再発行は本来は本人が窓口に行くのがルールなものの、銀行に事情を説明すれば「本人の署名だけはお願いします」との事だったので、書類を取りに行きオカンに渡して親父の署名を貰うようにしましたが..................
「俺は死ぬから口座から金出すんか!」
それら諸々重なり、オカンは電話口で泣き出す始末..................

今回は、後から説明するのが面倒くさいのと裏で何かコソコソしてると思われたくないので、嫁がいる時は誰との電話もスピーカーホンで話していますが、内容聞いた嫁ブチ切れ。

「会社の件でアンタはだいぶ我慢したと思うけど、私は我慢せえへんよ、明日、私一人で病室入って、手の届かへん場所に弁当置いて署名だけ貰ってくる、文句言うならアンタの医療費も知らんし今後誰も面倒見んし電話も受けへんから自分で全部やりなさいって言うてくる。
傷病手当や銀行、保険、住宅ローンの返済免除の申請は私も手伝うから、お義母さんじゃなくてアンタがやりなさい」


20年ほど前、親父の酒乱が原因で絶縁となった時のようなキレっぷり。
「退院して介護がどうの言われても、私は絶対手伝わへん!」

ってな話になってんのよと義妹に伝えると
「実は私も良かれと思って娘らの動画をお義父さんに送ってたんですが、着信音がうるさいから送るなって言われて..................」
親父が望んで一時退院するなら、看護師である自分が在宅介護をするとまで言ってくれてたのにこれ..................
「私、あんまり信用されてないっていうか、溝を感じちゃいました」

義妹には、前々から善意で言ってくれてたのはありがたかったけど、ホンネは「一時退院なんかしたら周りが大変やから、何が何でも病院に入れとく」と思ってたんよと。
まず車椅子にも座れず、少しの衝撃で背骨崩れる状態で移動とか無理。
実家にしても、車椅子なら通れてもベッドの状態で廊下曲がられへん。
義妹ちゃんが色々考えて、良かれと思ってやってくれたり言ってくれてるんは、親父以外は皆わかってるから気にせんときと。

そんな話の流れを義妹伝てに聞いた弟は
「アニキ、よう親父にキレんと話つけたよな、親父めちゃめちゃやな、終わったら旅行いこ旅行」と大笑い。

とりあえずオカンも「アンタには仕事に穴開けさせて色々やってもらってるから、今手続きしてる銀行や保険のお金の事が落ち着いたら、半年分でも渡すからもう暫くはお願いするわ」と。
こういう状況になって、親父はワガママ三昧、オカンはヌケサクな発言が多く振り回される事が多々ありますが、兄弟義姉妹の関係は良好なのがまだ救いなように思えます。

来週から約半月に渡って背骨の放射線治療が始まり、またバタバタさせられる気もしますが、こればっかりは仕方ないと思って諦めている今日この頃です。

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