これから............

さて、親父の方は全ての検索結果が出て、主治医2人に看護師長と面談が。
弟は東京で仕事、弟嫁は4歳と2歳の子供がいるため頻繁に大阪に来る事もできないので、面談の場には毎回、携帯を繋ぎスピーカーホンで参加。

主治医からは、肺癌はステージ4、胸椎全体、肋骨全体、肝臓、副腎、尻の筋肉に癌は転移していると。
第2胸椎には放射線治療が可能なものの、そこから下は手術の傷痕が治っていないため放射線を当てると傷口の回復も阻害されるから手がつけられず。
抗がん剤治療も副作用が強すぎて、年齢や体力的に逆に死期を早める。
手術で胸椎を補強したから、座位は平坦な場所で停止した車椅子なら30分は姿勢を保てるものの、第2胸椎は殆ど腫瘍に侵食されていて、頭の重さを首で支える事はできず、24時間ゴツいコルセットは装着。

急性期の対応は全て終わりました。
在宅療養するとなると、最低でも医師1人、看護師1人、介護士3人の計5人が24時間付いていなければならず、非現実的。
根治は不可能、悪化していくのが早いか遅いかの違いだけなので緩和ケアの病院へ転院をお勧めします。

それまでにもある程度は聞かされていましたが、主治医からの「何か訊きたい事はありますか?」に対して、こちら側は皆黙っていたので

「先生らのこれまでの経験や、最初の頃からの経過も含めて、今、親父の余命がどれぐらいと判断してるか教えてほしい」

「肺癌ステージ4の1年後の生存率は40%です。
けど、お父さんの状態では2、3ヵ月、もって半年です。
理由として、全身に転移していきながら治療の術が無い事、食事で栄養が取れていない事、後は年齢的に元々の体力が無い事が挙げられます。
急性期の対応としてうちの病院での処置は終わりました。
今後、緩和ケアといった形で余生をどう過ごすかを本人とご家族で決めていく事になりますが、余命は本人に伝えてもよろしいでしょうか?」


こちら側は誰も何も言えず..................
自分やったら「緩和ケア=苦痛を減らす」というのは薬を使っていくという事で、自我というのかしっかり覚醒してる時間が徐々に減っていき、そのうち昏睡が殆どになっていくだろうと想像はできます。
自分がいつ死ぬのか曖昧なまま、知らず知らず自我を無くしていくぐらいなら、今のうちに後悔ないよう目いっぱい生きたいと思います。

「伝えて下さい」と返事すると、電話で聞いてた弟夫婦も「伝えて下さい」
が、オカンが「伝えないで下さい」

これは難しすぎる問題で、息子らよりもオカンの方が親父と過ごした時間は長く、自分らにはわからない感情があるとは思うので、オカンがそう言うならそれでいいと。

そこで一旦話を纏めて、余命に関しての事は除き、親父の病室へ入って主治医から親父へ同じ説明が。
親父としては、薄々長くないのは勘づいてるようなところがありますが、首も動かせない寝たきり状態で死を待つだけなのは嫌だと。
車椅子に座れるぐらいリハビリをしたい。
「最後まで人間らしく生きたい」と。

「今までの鬼神の所業は差し置いて、最後は人間に戻りたいんかい」
と思ったのは言うまでもありませんが、多分、初めて親父の言葉で涙が出た気がします。

判断が難しいところです。
家族の総意として「できるだけ苦痛無く余生を過ごさせたい」と思う中、ベッドから車椅子に移動させるだけで5人掛かり、30分ほど座ると背骨と腰、首の痛みが酷くなる状態。
親父にとってはリハビリして車椅子に座る、自分の足で立つというのを生きる気力にしたいようですが、3ヵ月後に死を迎える事には変わりない中、そのツラいリハビリに時間を費やすのが良いのかは自分には何とも言えません。
弟は電話の向こうで泣いてる様子。

とりあえずのところの話は終わり、自分は仕事へ。
夕方、オカンから電話が。
病院に癌の緩和ケアチームみたいなのがあり、今後の説明をしたいとの事で仕事切り上げ再度病院へ。

緩和ケア(ホスピス)の対応をしてる病院が記された地図を広げられ、面会等、家からの距離や料金で選択肢をしぼっていくといったところ。
それでこちらからの提案。
「リハビリをする事で本人の活力になると思うから、リハビリができる病院はありますか?」
話を聞く限り、ホスピスは基本的に緩和ケアが目的なので「リハビリ」というものを行う病院は殆ど無く、ひたすら苦痛無く余生を過ごさせるリラクゼーション主体といった所のようで、実家のある市と隣接する市にホスピスとされている病院はいくつも記載されていましたが、リハビリできるとなると1件だけで選択の余地無し。

その病院はオカンの実家がある市の病院で、オカンのじいちゃんばあちゃんが最後を迎えた病院。
自分が小学生の頃から、ばあちゃんが入院したらじいちゃんとお見舞いに行き、じいちゃんが入院したらばあちゃんと見舞いに行き、2人とも入退院を繰り返しながら、ばあちゃんはうちの嫁が臨月ぐらいの時に、じいちゃんはその2年後に亡くなった最後の場所。
ばあちゃんは間に合いませんでしたが、じいちゃんにはひ孫を見せる事ができ、初ひ孫という事もあってか、病室で「可愛いなぁ」と喜んでくれたのは良い思い出です。
そんな事もあって、勝手知ったる病院というか、何となく因縁めいた場所だなと。

そこへ空き待ちの登録をしてもらうようお願い。
待機期間中は今の病院で、栄養補給や痰の除去等の処置はしてくれると。
ホスピス側から連絡があれば、まず今の病院から治療や検査のデータを家族が受け取り、それを持ってホスピス側と面談があると。
それでOKが出れば転院という流れに。

そんな中、一つ問題というか心配事が。
それは、親父が希望する「家に帰りたい」という言葉に対する、それぞれの認識の違い。

以前から義妹は「お義父さんが自宅に帰りたいと言うなら、看護の面は私がやります」と言ってくれていました。
弟のところはお金に困ってるわけでもなく、弟が再婚して5年ぐらいの付き合いですが、弟に対して「いくら社長や言っても、いつどうなるかわからんのに贅沢ばっかりしなさんな!」と、苦労して育ってきた環境が良い方向に働いてる子といった印象で、相続とかで狙いがあるわけもなく、完全に「善意」で言ってくれているものです。

そして今回「半月ぐらいなら子供らの予定も調整して、3人で実家へ行くつもりでいます(弟は抜き)」と、考えはより固まった感じがしたので、もし親父が自宅に帰ったとして予想し得る自分が思っている事を隠さず伝えておこうと。

まず弟には「義妹ちゃんは、ああ言ってくれてるけど俺は反対や」と言うと
「アニキは親父が望むもんを叶えてやろうと思わんのか!」と激高..................
電話口の様子は、兄弟喧嘩で何発か殴った際、台所へ走って行って包丁持ち出した時ぐらいの怒りっぷり。
(「それはアカン、包丁は置け」と言って置かせたのを見計らって、その辺にあったドライバーか何かの工具で切りつけると弟は手でガード。
ガードした手の平の肉が削げてしまい大流血。
「これはやべぇ」と思ってタオル巻いてチャリのケツに乗せ、近くの病院に駆け込んだという修羅場が。
結局、保険証や支払いの事など頭に無かったのでオカンの会社に電話して知られる事になり、しこたま親父とオカンに怒られる事に.........)


「そうやない、話を聞けやボケっ!」
妙な様子を感じ取ったのか、義妹も弟の電話口に来てスピーカーホンで。

今、オカンと2人で面会に行く事が多いけど、100%の確率で水が温いだの、足のさすり方がヘタだの親父がオカンに文句を言ってる。
面会時間が15分という制限があるからいいものの、これが四六時中となるとオカンが先に倒れそうな気がする。
元々「こんな沸点低い人間には今だ会った事がない」と思える親父が、今後どんどん病状が悪くなっていく中、頭がハッキリしてる限り、イラついて更に怒りっぽくなりそう。

今ですら、義妹が良かれと思って子供らの動画をLINEで送ったら「着信音がうるさいから送るなって言うとけ」とか言い出すのを考えると、実家に子供らと来て、常に子供らが静かにしてるわけでもないから、そのうち「やかましい!出ていけ!」となるのが目に見える。
(キレたらうちの娘が1歳であろうが容赦なく殴ったという前歴あり、今は完全寝たきりで物理的に手を上げる事は不可能とはいえ......)
子供らは「早く元気になってね」と言って励ましてくれてるのに、怒鳴りつけられて心に傷を負うんじゃないか?
(リストラになるという事すらオカンに隠そうとするレベルで)プライドだけは衛星軌道並みに高い人間、いくら看護師とはいえ義娘にシモの世話までしてもらう事に本人も抵抗あって、親父は「お母さん!シモの世話は頼むわ!」とか言い出すんじゃないか?

身の回りの事を世話するのは義妹にせよオカンにせよ、もういい大人やから、ある程度許容できたとしても(うちの嫁はこの件に関しては「最初に言っとくけど私は無理やから」ですが)、子供らに「最後はじいちゃんに怒られた」ってのが思い出に残る結果になるのが、一番心配してるところ。
親父という人間に関しては、義妹ちゃんが予想してる事を遥かに超えた、常人には理解不能な発言行動をすると思ってた方がいいよと。

弟も義妹も「言われてみればそうかも..................」

俺個人的には、親父の「家に帰りたい」っていうのは、親父とは色々あったけど、最後の望みとして叶えてやりたい。
けどそれを叶える為の周りの労力を考えたら「泊まり」じゃなくて、2時間か3時間、皆で実家に集まって食事するぐらいがいいと思う。
遅くなるほど脳もやられてくるやろうから、医者からの許可が貰えるってのが前提やけど、タイミング的には転院の時に病院から直接次の病院に行くんじゃなくて、一旦実家に寄って食事して転院先へってのがいいかなと思ってる。

「それがいいわ、アニキ!」
「その形が皆に負担も無くて、お義父さんの希望にも添えますよね」
で一旦、現状取りうる最善の方法は兄弟とそれぞれの嫁の間では共有し、オカンはどう考えてるのか。

「私、1泊でも無理よ、シモの世話も無理」.........意外と冷たい返答。
この夫婦の関係はホントわかりません..................
それで兄弟義姉妹間で考えてる内容を伝えると「それがいいわ」

まだこれから面談の日程や転院の手続き等、やる事はありますが、誰かに負担が偏る事なくやっていきたいところです。
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